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村橋くん、ハイ! 3

2008年05月28日 05:15

  

       カレーとお風呂
   
     
 僕は三人兄弟なので、幼いながらも気を遣った。

 例えば、カレーライスを食べる時。

 母は、「今日、辛口がいい?それとも甘口?」

 なんて聞いてくる。

 僕は、兄の顔色を窺う。

 「辛口~!辛口がいい!!」

 なんて、兄は言う。ホントは中辛がちょうどいいはずなのにね。

 僕は、まだ辛口が辛い(つらい)。

 しかし、この時点で、男である。

 「僕も辛口でいいよ。」

 なんて、余裕の表情を見せながら言ってみせる。

 結局、食べ切るが、普段お替わりをするカレーなのに、お替わりをせずに、夕食は終わる。

 そして、入浴タイム。

 父親、または祖父母が一番風呂に入るが、その理由は、さっさと就寝するから・・・

 特に封建的な家庭ではなかった。

 たまたま僕が一番風呂に入るタイミングになった。

 これが熱い!薪を焚いて沸かす風呂なもんだから、火を消すに消せない。

 消したらまた、ぬるくなった頃に火をおこさなくちゃいけないので、非常に不便。

 なので、これまた僕は我慢した。

 水を注ぐのもほどほどに、お湯を頭からかぶれればいいかなと・・・

 当時、シャワーなんかなかったもので・・・

 それでも、男なんです。意地でも湯舟に浸かって、100数えるつもりが40数えて出てしまう。

 肌は真っ赤。すっぽんぽんで、茶の間へ行きますと、母がこう言いました。

 「どうしたの?熱かった?水でうめればいいじゃない!!」

 男らしくない僕は、『全然熱くなんてないよ!』っていうのがかっこいいのかもしれないのですが、こう言うんです。
 
 「だって、あとから入る人が、ぬるいって思うかもしれないじゃん」 しかし、そこで父がこう言ってくれました。

 「偉い!
 
 ひと言。それだけかい!?

 でも、自然に涙が、流れはしませんでしたが、ウルウルでした。



 走ってコケて、痛くて泣くことしか知らなかったのですが、

 それ以外で涙が出るなんて・・・


 なんだったんでしょうね。一番近かったのは、嬉しかったっていう感覚かな。



 大切にすべきことが、強く焼きつけられた出来事。

 

 

 


 

 
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